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NISA(ニーサ)はデメリットばかり? 事前にリスクやメリットを知り安全に運用しよう
2022.5.11 NISAパーフェクトガイド
NISA口座は、複数の金融機関で開設することはできません。さらに、一般NISA・つみたてNISAを併用することもできません。しかし、NISA口座は1年ごとに金融機関を変更することが可能です。口座変更をするためには、口座変更をしたい年の前年の10月1日〜口座変更をしたい年の9月30日までに変更の手続きを済ませる必要があります。
NISA口座を異なる金融機関に変更した場合、主に2つのリスクが考えられます。
NISA口座を他の金融機関に移す場合、これまで運用した資産を新しい金融機関のNISA口座に移管することはできません。
ただし、これまで運用した資産は、変更前の口座でそのまま保有され、最長5年間の非課税期間は活用できます。
仮に、2022年にA金融機関で一般NISA口座を開設し、1月に商品を買い付け。その後、2023年にB金融機関にNISA口座を変更した場合、A金融機関の資産はそのままA金融機関で保有され、運用益は2022年1月から2026年末までの5年間非課税となります。
一般NISAは、5年間の非課税期間終了後、これまで運用してきた資産を再度NISA口座に移して運用継続する、いわゆるロールオーバーができます。しかし、NISA口座を異なる金融機関に変更すると、ロールオーバーができなくなります。
2022年にA金融機関で一般NISA口座を開設して投資を開始。2027年にB金融機関にNISA口座を変更した場合、A金融機関のNISA口座の非課税期間は5年後の2026年一杯で終了しますが、2027年に異なるB金融機関の一般NISA口座の非課税枠にロールオーバーをすることはできません。
どうしても、ロールオーバーをしたい場合は、ロールオーバーとなる年に同じ金融機関のNISA口座に戻す必要があります。
前述のように、NISA口座を他の金融機関に変更すると、リスクも伴います。口座変更はどのようなときに検討すれば良いのでしょうか?
NISAの取扱商品を全て金融機関が扱っているわけではありません。NISA対象商品の中でも、実際に取り扱っている商品は金融機関ごとに異なります。たとえば、「話題のESG投資※を通して、SDGsの目標達成を支援したい」と思っても、NISA口座を開設した金融機関で取り扱いがないこともあります。自分が実際に投資してみたい商品がない場合は、口座変更も検討してみましょう。
投資商品を売買するときには手数料がかかることがあります。手数料は金融機関によって異なるため、もし手数料に不満がある場合は、より手数料が安い金融機関に口座変更をすれば改善されます。
NISAの対象商品は種類が多いため、仮に運用サポートが手薄な金融機関では投資初心者の方は不安を感じるかもしれません。銀行なら、店頭やWebでNISA制度の説明から投資商品の概要までトータルで相談に乗ってもらうことができます。
実際にNISA口座を変更する場合、これまで利用してきた金融機関と、新たにNISA口座を開設する金融機関、双方で手続きが必要になります。口座変更に必要な手続きと、必要書類について解説しています。
まず、今年、金融機関変更ができる受付可能期間中であるかを確認しましょう。受付可能期間を過ぎているか、すでに今年の非課税枠を利用している場合は、NISA口座の変更は翌年以降可能になります。
次に、現在NISA口座を開設している金融機関で、NISAの金融機関変更手続きと非課税口座廃止手続きを行い、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の交付を受けます。
新たにNISA口座開設をする金融機関に「非課税口座届出書」、その他必要書類を提出します。
【新たにNISA口座を開設する金融機関で必要な書類(銀行の場合)】
一般NISAとつみたてNISAも1年ごとに変更ができます。切り替えができるタイミングは原則、金融機関の変更と同じで、原則10月1日を過ぎたり、買い付けを行っていれば切り替えは翌年以降となります。
同一金融機関で、一般NISAとつみたてNISAを切り替える場合は、金融機関で備えている「非課税口座移動届出書」に必要事項を記入し提出します。
一般NISAからつみたてNISAの制度変更だけではなく、金融機関も切り替える場合は、他の金融機関で口座開設する手続きと同じで、新しくNISA開設をする金融機関で、一般NISA・つみたてNISAどちらで運用するかを選択すれば完了です。
また、これまでに購入した資産が、変更後のNISA口座に移管できない点や、ロールオーバーができないリスクについても同様です。
ただし、一般NISAとつみたてNISAは、年間非課税投資枠や非課税期間、対象商品などが異なります。投資をする目的や投資可能額などを整理し、どちらが適しているのか十分に検討しましょう。
つみたてNISAの概要については以下の記事でも紹介しています。
つみたてNISAとは? メリット・デメリット、向いている人を解説!
参考:一般NISAとは
NISA口座は一般NISA、つみたてNISAともに、今とは異なる金融機関に1年単位で変更することが可能です。しかし、NISA口座を他の金融機関に変更した場合、これまでNISA口座で運用してきた資産は、新しいNISA口座への移管やロールオーバーができません。
NISA口座変更は、今NISA口座を利用している金融機関に投資したい商品がない、手数料に不満がある、運用時のサポートが手薄と感じたときなどに利用しましょう。
特に、投資初心者の方は運用開始後も不安に感じることがあるかもしれません。全国に店舗がある銀行や口座を持っている銀行であれば、店頭でもNISA制度のわからない点や商品を選ぶ際のポイント、他の金融サービスとの比較など、トータルでアドバイスを受けることができます。
金子 賢司
個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。